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どうか、私を愛してください。
第30章 秘密。
「これで苦しまなくて済むって言ったわ。今まで誠二はずっと生き地獄だったの。人生で愛した二人の女性は誠一さんの妻で、ずっとずっと苦しかった。だから美緒さんにも自分を諦めてもらおうと……会ったら無理なくせに。」



手にいれたはずの女性がそばにいるのに心がなかった誠一さん
心は手にいれても会えずに時を過ごした誠二
婚姻という紙切れに縛れた美緒さん



そして、遥人とのことから
逃れられない私。


時間はかかってしまったけど
みんな、前に進められる。


「誠一さん……?」



「悪い……っ」


さっき心がないって思ってしまったけど
この人は不器用なんだ。
ただただ不器用なだけで、本当は美緒さんのことを
この人はこの人なりに愛していたんだ。


涙を手で拭って
一生懸命止めようとしている姿をみたら
この人、子供の時でさえ泣いたことがないのかもしれない。
泣きたい時は、大人だろうが、男だろうが、そんなの関係ない。


「ごめんなさい……あなたも苦しかったよね。」


座っている誠一さんの後ろから
そっと抱きしめた。
泣いていいんだよって、伝えるために。


私の腕にそっと手を添えてきた
誠一さんの手が、温かくて、優しくて
私まで涙が出てきた。


遥人、次はないけど、
でも、もし、またあなたと出会ったら
もし、また、同じ病になったら
私、我儘を言う。
生きてほしいって絶対にいうからね。
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