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『家族全員で集まるからＰＣＲ検査を受けて来い…。』


お盆休み前にそう父から言われた。

我が家の家族って全員が徒歩５分圏内に居るのに帰省とか大袈裟な話じゃないはず…。

なのに何故、家族で集まるってだけの為に自費での検査が必要なのだろう？

今更、国に文句を言っても始まらないので旦那と２人で検査を受けた。

無事、陰性の結果を貰い、いざ家族の元へ…。


『別荘を借りて貰ったから移動するぞ。』


とご機嫌な父が言う。

旦那の義父が知り合いから湖畔にある別荘を貸して貰ったからだ。

その別荘の使用条件がＰＣＲで全員が陰性である事…。

食料や生活用品など必要な物は注文だけすれば全て管理人が届けてくれる為、他からの感染リスクもなければ、他への感染リスクもない新しいビジネスモデルの実験台に我が家が選ばれたらしい。

なるほど…。

完全に隔離された別荘でバカンスを過ごす人間が全員陰性ならば安全な別荘ライフが楽しめるのだと感心する。

別荘の崖下は湖のプライベートビーチ…。

小さな桟橋があり、ボートで遊んだり釣りを楽しんだり出来る。

夜はウッドデッキでバーベキュー…。

ピザ窯まであるから、かなり本格的に楽しめる。

そんな状況なのにオタクな弟と旦那は黙々とパソコンをWiFiに繋いでネットダイブを繰り返す。

私は何故か父と義父との３人で毎日が釣り三昧…。

家族だけしか居ないから皆が気ままに過ごしてる。

長閑な平和を手に入れる為に検査が必要な時代って違和感を感じずにはいられないけど、安全の為なら仕方ないのかもしれないと無理矢理に納得しながら、のんびりと釣り糸を垂れるだけのお盆休み…。

安全対策って本当に大事なのだと実感しました。



という呟き…