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蒼井シリウスさんの日記

ベリーショートショート その4
[作成日] 2014-02-21 10:03:40
『あまのじゃくのおきて』後篇 
(前篇から読んで下さい)

「魁君がみんなと遊ばなくなったから、病気かなと思って心配してたんだよ」
「心配してたんだよ」と言う言葉に、魁君の顔が急に赤くなりました。
そして、なぜか真理ちゃんに何も言わず、教室から走って出て行ってしまいました。
そんなことがあってから魁君は、今まで真理ちゃんと普通に話していたのに、なぜか話せなくなりました。
魁君が消しゴムを落として真理ちゃんが拾ってくれたときも「ありがとう」と言えませんでした。
真理ちゃんに「赤えんぴつ貸して」と言われたときも、何も言わず放り投げてしまいました。
教室の掃除のときは、いつも机を二人で運ぶのに真理ちゃん一人にさせました。
真理ちゃんが怒って言いました。
「魁君どうして手伝わないの!」
魁君も怒って言いました。
「うるさい!」
「わぁーん」
真理ちゃんは大声で泣いてしまいました。
そして魁君に向かって言いました。
「魁君の、あまのじゃく!」
魁君はびっくりして聞き返しました。
「今なんて言ったの?」
「あまのじゃくって言ったんだよ。意地悪する男の子をあまのじゃくって言うってお母さんが言ってたもん!」
魁君は、急いで自分の頭をさわりました。
かたいところを探しました。
でも、それはなくなっていました。
「あまのじゃく」と呼ばれ、鬼ではなくなってしまったのです。
魁君の目から涙がこぼれました。
「わぁーん」
魁君と真理ちゃんは二人で泣き続けました。
うちに帰るとお母さんは、魁君の柔らかくなった頭をなでながら言いました。
「実はね、お父さんもね、小さいときにお母さんから『あまのじゃく!』って言われて人間になっちゃったのよ」
「え? お父さんも?」
「そうなの、だから明日は心配してくれた真理ちゃんに、ごめんねって言おうね。その方が鬼になるより、ずっと立派で大切なことなのよ」
魁君はお父さんを見ました。
お父さんは困った顔をしていました。
でもお母さんは、またにこにこ笑っています。




白状します。
この作品は昔あるメジャーな童話賞に応募して全然引っ掛かりもしなかった作品です。
今読むと赤面ものです。
知人の童話の解かる人に読ませたら『テーマがない』『子供になにを訴えたいのか分からない』と言われました。
私は『オチの面白さ』だけをねらったみたいです。
今もですが……。

日記へのコメント

真理ちゃんをもっと泣かすのかと思ってました(笑)
絵本の「泣いた赤鬼」みたいに誰かの犠牲の上に鬼になるのかと…

童話でしたかぁ~
いつもの毒(?)が優しかったです。

って「泣いた赤鬼」知らなかったらすみません。
[投稿者]ハルマニスさん [投稿日]2014-02-22 03:09:43
童話、難しいですよね。
私の最初で最後の童話です(笑)
でもこれは、大人向けでも子供向けでもない、童話の名を借りたSSですね。
最初は「鬼の世界」から「人間世界」にきた子鬼で、鬼と呼ばれたら帰らなければならなくて、人間の少女に恋をして、つれなくしてしまい、最後は「あまのじゃく」と呼ばれてしまうオチでした(笑)
当時、原稿用紙5枚でその設定を表現できる技術がありませんでした(今も?)

瑠衣さん言ってましたが、私は作中の人物を現実の誰かをイメージして書いたときないんです。
私には登場人物はオチへ向かう為の“駒”としか見ていないのでしょう。
だから、訴えるものがない、それが今後の課題ですね(笑)
[投稿者]蒼井シリウスさん [投稿日]2014-02-21 12:41:53
こんにちは。

童話、良いですよね
私もよく書いているのでシリウス様の鬼をわくわくして読んでいました

そうですね……
設定が深かったためにその回収が仕切れてないのかなと感じました
五百年のプレッシャー
何故か笑ってる母
待望した鬼の誕生を前に何も注意をしなかったのは?
童話ですから説明的展開より、え?で終わる位が想像が出来て良いと思います
ただ今回のは?がちょっと多いかなと

すみません
感想を伝えたかったのに変に語ってしまって
オチの面白さ
難しい探求ですよね……
長くなれば尚更設定自体が縛りに

鬼と呼ばれてはならない
これは好きでした!
遊びから隔絶される少年
その発想が羨ましい…
[投稿者]瑠衣さん [投稿日]2014-02-21 10:26:01

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