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ああ！アルバイト抜けるのに時間がかかっちゃった・・・水際さんにせっかく声をかけてもらったのに、遅くなっちゃう！！

５月も半ば、ちょっと暑くなってもいるので、夕方のこの時間であっても本気で全力疾走したら汗でお化粧もひどいことになりそうだから、そんなに走ることもできない。

「お、遅くなりました！」
『本日貸切』とある『みなと町』の扉を押すと、カラン、軽いベルの音をたててそれが開く。

見ると、すでに中央に机が寄せてあり、その上にはホールケーキが用意されていた。

「耀！遅かったね」いつものように素敵な水際さん。
「耀さん・・・こんばんは。来てくれてありがとう」これはみなとさん。
「えっと・・・僕も、耀さん・・・でいいのかな？」遠慮がちに聞く蒼人さんに、私はもちろんですよと答えた。

今日は作者さんからお知らせがあった「ピックアップ５回目」のお祝いパーティだった。水際さんが私も呼んでくれたのだ。

お父さんが作る料理を手際よく水際さんとみなとさんが並べていく。蒼人さんがシャンパンの準備をしている。そして、パーティが楽しく始まった。

席はみなとさんの隣に蒼人さん
私の隣に水際先輩
自然とそうなった

グラスにお酒を注ぎながら、みなとさんが楽しそうにしている。

なんだか、目がキラキラしていた。
女の子って、好きな人の前だと、なんであんなにきれいになるんだろ？

その姿を見ていると、私の方まで気持ちがあったかくなる。

ちらりと隣の水際さんを見る。
「なあに？耀？」

すでにシャンパンでふわんとした顔の水際さん。そのふわりと朱が差した頬、潤んだ瞳、可愛らしく笑う顔を見て、ああ、やっぱりかわいいなって。

ああ、今、一体、私はどんな顔をしているんだろう？
みなとさんと同じようなキラキラな瞳を、見せられているだろうか？

付き合って・・・って言った答え
まだもらってないけど・・・。

「なーに、ぼけっとしてるんろ？
　耀も飲むのろ！」

上機嫌の水際さんを前に、二人も笑っていた。
水際さんが、私のグラスにシャンパンを注ぐ。彼女の発声で、何度目かわからない乾杯があった。

「雨が好き、5回目、ピックアップおめでとー！！」

楽しい、楽しい、私の青春の一幕。
彼女のこの表情を含めて、きっと、この夜のことは、
私の胸の中にいつまでも残り続ける・・・
そんな気がしていた。