あくまで今回のオチの作り方の過程をお話します。
これは、自分の思考回路を自分で分析する意味もあります。
正解ではありません。
まず、車庫から出る息子を手助けする母親を見て「なんて過保護な……」と思いました。
じゃあ、帰りの車庫入れも母親が手伝うのか?
あ!
そこで“ピン”と来ました。
この“過保護さ”を笑ってやろうと。
この時点で“車”での出来事なので、最後も“車”で“落とす”ことしか頭にありませんでした。
つまり“出発”でツカミ、“到着”で落とす。
でも帰りに、同じ所でその場面に遭遇しても、イマイチ面白くありません。
じゃ、過保護も“外”まで及ぼそう。
会社に着いたら、駐車場で、また母親が息子のために「オーライ! オーライ!」とやっていた。
これだ!
イメージ的には「オーライ!」で始まって、最後も「オーライ!」で文章的“韻”を踏んで終わるのがいい。
でも、母親が先回り出来るか?
最初バイクを考えましたが、シンプルさに欠けます。
じゃ、違う人……そうか父親にしよう……ん、会社に父親? じゃ、いっそのこと父親を社員にしよう、あ、そうか、上司の方がいい、これで“毒”を作ろう。
母親に嫌な顔を見せ、会社に着いたら上司の妻だった。
そして過保護さは上司も発揮していた……。
一本につながりました。
これが“面白い話”なのかどうかは、全くの個人差です。
でも、創作者は、自分で面白いと思ったから発表するのです。
ただ、それが他の人にとって面白い話なのかが、読まれてからしかわからない。
永遠の課題です(笑)
『過保護』
今日から新年度だった。
車での通勤途中に住宅地を通っていたときだ。
前方にエプロン姿の女性が立ちはだかった。
私は急停車した。
「今、息子の車が出ますから、少し待って下さい!」
スーツ姿の若い男の運転する車が、通りへゆっくりと出てきた。
「オーライ! オーライ!」
彼女は両手を振りながら誘導する。
私はイライラしながら待った。
彼女は無事に車が走り去るのを見届けると、やっと私の前からよけた。
なんと過保護な……。
私は彼女の前を通り過ぎる時、苛立った顔をわざと見せつけた。
会社に着き、駐車場に車を入れるときだった。
部長が私の前に立ちはだかった。
私は急停車した。
「今、息子が駐車するから、ちょっと待てっ! オーライ! オーライ!」
完
作者ページ
蒼井シリウスさんの日記
オチの作り方について
[作成日] 2014-03-08 09:26:53
日記へのコメント
製薬会社の息子ですか?
それは知らなかった。
そっちのオチも気になる(笑)
それは知らなかった。
そっちのオチも気になる(笑)
すみません。
製薬会社の息子、星新一の薬ネタは多いと思いますが。 幾つかは分かりますが…?
好きなのは、風邪をひく薬、ですかね。
件のお話しは、自分は知りません。
にわかファンで申し訳ないです。
製薬会社の息子、星新一の薬ネタは多いと思いますが。 幾つかは分かりますが…?
好きなのは、風邪をひく薬、ですかね。
件のお話しは、自分は知りません。
にわかファンで申し訳ないです。
星氏、ショートショートの神様ですね?
知っているんですが、実はあまり読んだことがないのです(笑)
でも、ひとつ覚えがあります。
飲むと“体が透明になり、なんでも通り抜けることが出来る薬”を発明した男が、女風呂の壁を前にしてその薬を飲む(もちろん裸で)、さてこのオチは?
これ星氏の作品ですよね?
違いましたっけ?
知っているんですが、実はあまり読んだことがないのです(笑)
でも、ひとつ覚えがあります。
飲むと“体が透明になり、なんでも通り抜けることが出来る薬”を発明した男が、女風呂の壁を前にしてその薬を飲む(もちろん裸で)、さてこのオチは?
これ星氏の作品ですよね?
違いましたっけ?