『バカップル』その1
夏祭りの夜だった。
金魚すくいの出店を覗いてみると、浴衣姿のカップルの会話が聞こえてきた。
女が金魚すくいをやっていて、男はそれを隣りで見ていた。
男「ほら、そこ、そこ」
女「あんっ、やぶれちゃった……もうっ、一匹もすくえなかったわ……」
男「大丈夫だよ、金魚はすくえなかったけど、君の無邪気な笑顔に俺の心はすくわれたよ……」
女「(///∇///)」
えーと、金魚と一緒に泳がせていいですか?
完
『バカップル』その2
海水浴場だった。
前に水着姿のカップルがいた。
女は男の手を引いて立ち上がらせようとしていた。
女「ねえ、一緒に泳ぎましょうよ」
男「だめなんだ……」
女「なにが?」
男「怖いんだ……もう溺れるのはこりごりなんだ」
女「え、もしかして、カナヅチなの?」
男「いや、そうじゃないんだ、もうすでに溺れてしまってるんだ……君に……」
女「(///∇///)」
えーと、カナヅチでスイカ割り始めていいですか?
完
『バカップル』その3
日曜日の夕方だった。
街で、前を歩いているカップルの会話が聞こえてきた。
男は腕時計をしきりに見ていた。
女はそれを見て面白くない様子だった。
女「ねえ、さっきから時間ばっかり気にしてるけど、なんなの? せっかくの休みなのに……」
男「ちぇ、おっかしいな……」
女「どうしたの?」
男「また腕時計壊れたみたいなんだ、いつもはこんなことならないのに……君といるといつもこうなんだ……」
女「え、なんで……そんな言い方、ひどいわ……」
男「どうしてだろう? 君といると、時計が早回りして、時間があっという間に過ぎるんだ……」
女「(///∇///)」
えーと、時空のかなたに蹴っていいですか?
完
『バカップル』その4
花火大会の夜だった。
前で、花火を見上げている浴衣姿のカップルの会話が聞こえてきた。
女「わあ~! きれ~い!」
男「もういいよ、行こう……」
女「え、何で? 今始まったばかりだよ」
男「あの花火は、君のきれいな横顔を輝かせるための導火線の役目でしかないよ、そして君のその横顔は、俺の大砲の導火線に火をつけてしまった、行こう、静かなところへ……」
女「(///∇///)」
えーと、消火器で消火訓練していいですか?
完
作者ページ
蒼井シリウスさんの日記
小噺集 その42
[作成日] 2014-06-28 07:45:25
日記へのコメント
そうなんです。
いつもそうゆうカップルの後ろになってしまうんです(笑)
いつもそうゆうカップルの後ろになってしまうんです(笑)
上手い!
座ぶとん十枚!
でも…これって、作者様の実体験談みたいですね…
ノンフィクションなのでは?