『第8回』のつづきです。
何が共通しているかというと、それは『この話のクライマックスが何か、予め提示されている』ということです。
『ときそば』は、勘定をごまかすことに成功した男を見ていた間抜けな男が、今度は自分がそれを真似してみるというものです。
クライマックスはもちろん、その男が勘定を払う場面です。
観客は、そこで男がどんなドジをやらかすかを楽しみに見続けます。
『餅つき屋』の話は、亭主が早い段階で『そうだ! お前の尻を叩いて餅をついている音を出そう!』と女房に持ちかけます。
観客はその時点で「え!」と思ってしまいます。
観客はその“異常な光景”を思い浮かべながら、それがどうゆう風に行われるのか楽しみに見続けることになるのです。
実際、最初、女房が着物をまくり、尻を出し、亭主がそれを後ろからしげしげと眺め、感想を言う場面があります(笑)
まさに観客が待ち望んだシーンの始まりです。
どちらの話も、「この話のクライマックスは、この先のこうゆうところですよ」と予め提示されています。
観客はその『Xデー』にどんなことが起こるのか、期待しながら見続けることができます。
それがこの物語の吸引力というか、推進力だと思うのです。
この先、何が起こるかわからない話よりも、この先こうゆう『Xデー』がありますよ、と、わかっている方が、飽きずに見続けることが出来ます。
ともすると、私もそうですが、これから何が起こるか予告めいたことを書いてしまうと、展開が読めて、物語として面白味が半減してしまうのでは? と思ってしまいますが、読者としては、この先どんなイベントがあるかわからないで読むのは、非常に根気がいることです。
例えば、『ある女子高生が思いを寄せる男子が、一ヶ月後の文化祭の後に転校してしまう』という設定があるとします。
これ、早い段階で提示した方がいいのがわかります。
『Xデー』はもちろん、文化祭が終わった時の、放課後です(笑)
何気ない日常を綴って、文化祭の朝に『実はこうだった』と提示するよりは、早いうちにその設定を知らせておく方が、その時点から読者を引っ張れるはずです。
何か書いてて“中だるみ”して面白くないな、と思った時は『Xデー』を設定し、それを提示してみてはどうでしょうか?
多分、書いている方も、きっと面白くなるはずです。
作者ページ
蒼井シリウスさんの日記
シリウスの小説執筆方法論 第9回
[作成日] 2014-12-09 08:54:45
日記へのコメント
刑事コロンボを思い出しました(笑)
はじめに犯人がわかるのに、刑事がそれを解決していく過程が非常に面白くて填まりました!
最後にどうなるのかワクワクしながら読むのも楽しいですが、そのような『Xデー』が先にわかる話も、面白いかも知れませんね♪
あ!
リクエストしてみようかな(笑)
シリウスさんは?(笑)
はじめに犯人がわかるのに、刑事がそれを解決していく過程が非常に面白くて填まりました!
最後にどうなるのかワクワクしながら読むのも楽しいですが、そのような『Xデー』が先にわかる話も、面白いかも知れませんね♪
あ!
リクエストしてみようかな(笑)
シリウスさんは?(笑)