私、小噺の“作り方”を知っていて作っているわけではありません(ま、小説も同じですが……)
不意の思いつきが半分、ある題材をもとに頭をひねって作るのが半分、といったところでしょうか。
もし“作り方”があればいいのにな、といつも思います。
でも今回、その片鱗を掴んだような気がします。
少しご披露します。
今回“ナッツリターン事件”をもとに作ってみようと思い立ちました。
すごくとっぴな事件なので、なんとなく作れそうな気はしました。
でも、なかなか思いつきません。
試しに、他にこれを“お題”に作っている人はいないか、ネットで探しました。
どんな風に“加工”するか知りたかったのです。
一人の落語家がいました。
以下全文。
A「まだ三日だというのに、もう帰省先からUターンしたの?」
B「親からはもっとゆっくりしろと止められたが、またお盆休みの夏に戻ってくるからと言い訳してきたよ」
A「まるで大韓航空の話題のようだね」
B「なぜ?」
A「夏(ナッツ)リターンだからさ」
出来はともかくとして、この人は“語呂合わせ”で加工しているのがわかりました。
元となる語と同じ音の単語を使って、違う意味に使う。
この人は小噺を毎日一話書くことを、もう十年以上続けているとのことです(すごい!)
他のも読んでみました。
読んでいて、ある“傾向”が見えてきたのです。
簡単に言うと、まず、今流行の“事象”とかを振って、それを“他の意味に変え”て落としているのです。
例えば。
A「今日は成人式。今の親子の絆ってどうなんだろう?」
B「今時の母親と子どもは、スマートフォンのラインでサクッと繋がっているんだって」
A「まさしくスマートな時代になったんだね。ところでその中に父親は入ってないの?」
B「父親はメタボなので外されているんだよ」
これはウマいと思いました。
“スマート”の意味を“賢い”ではなく“細い”と捉え、メタボに掛けて落としています。
あるお題に対して即興で作るとなると、この方法が一番なのかもしれません。
そうです、これは落語家が得意な“なぞかけ”の逆のパターンなのです。
「~とかけて~ととく」のあれです。
二つの違う事象を挙げて、ひとつの共通点を見つけるのです。
小噺はその反対なのです。
ではそれを踏まえて『ナッツリターン事件』を考えてみます。
つづく……。
作者ページ
蒼井シリウスさんの日記
小噺の作り方 第1回
[作成日] 2015-01-17 16:27:05