作者ページ

蒼井シリウスさんの日記

官能ベリーショートショート その21
[作成日] 2016-05-25 12:27:42
『運命の価値』

シティホテルのロビーに着くと携帯電話が鳴った。
彼からだった。
「ここですよ」
見回すと、笑顔で手を振っている男性が見えた。
想像してたよりずっと素敵な人だ。
とても同い年の35歳には見えなかった。
そのままホテルの最上階のレストランでランチに向かった。
初めて見る彼の笑い顔、そして初めて聴く彼の声。
今までメールのやり取りしかしていないけど、もう何年も前からの知り合いのような気がした。
お互い打ち解けた会話が楽しかった。
食事の後、彼が「もう少しだけいいですか?」と訊いてきた。
私はなにも言わず、うなずいた。
私もこのまま別れたくなかった。
レストランを出て、エレベーターに乗り、着いたのは下の階の客室。
手を引かれるまま、部屋に入った。
入った途端、抱きしめられた。
「あなたは想像していた以上に素敵な人だ」
唇が押し当てられ、舌が入ってきた。
それからは自分が何をしているかわらなかった。
何年か振りの男の人の感触。
あそこが恥ずかしいくらいに濡れた。
淡泊な夫とは違う、いつ終わるともない全身への愛撫。
自分でも驚くくらいの声を何度も発した。
やっと彼が私の中に入ってきたときは、今まで感じたことない快感に襲われ、更に彼が動き始めたときは、それだけで軽く何度もイってしまった。
動きながら彼が耳元で囁く。
「ああ、すごい気持ちいい……こんなのは初めてだ」
そして私の名前を何度も呼ぶ。
彼にしがみつく。
彼が更につぶやく。
「今日初めて逢ったのに、もう何年も前からこうしている仲みたいだ。もしかしたらあなたは運命の人かもしれない」
私も本当にそう思った。
私の身体と心は彼を無条件で受け入れ、上り詰めようとしていた。
激しく私を揺さぶる彼に請われるまま、そして、しまいには自分から「お願い、中に出して!」と叫んでいた。
次の瞬間、私の中を満たそうする彼の微動が始まった。
それは私を初めての絶頂に導いた。
彼が私の中から抜け出た後も、しばらく動けなかった。
「すごい良かったよ」
優しいキス。
この人だと思った。
この人が待ち望んでいた運命の人かもしれない……。
これで私は女として幸せになれる。
涙がこぼれた。
彼が優しく私の手を取る。
何かを握らせた。
「ごめん、最近の相場わからなくて……これでいいかな?」
手を開くとそこに、1万円札が2枚あった。


日記へのコメント

まだコメントはありません

ユーザーメニュー

無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ