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「“他人の気持ちを考える人間”が“何も考えていない人間”に勝てる訳が無い！　空気なんか読んでたらボロボロにされるだけだ！　だいたい、好きな女の一大事に『空気読んでて何も出来ませんでした』じゃ、男に生まれた意味がねーだろ！」


これ、主人公桐山零の、高校の担任が、零へのエールを込めて言うセリフ。

そのころ零は……自分の大事な人たちを脅かす“何も考えていない人間”と対峙していた……。

え～！！　１０巻ラストでまさかの展開！！

ううっ、早く１１巻出てくれ！（笑）


作者は『羽海野チカ』、彼女はほかには『ハチミツとクローバー』で有名なのかな？　（読んだことないけど）

この作者、心の“ひだひだ”の描き方が上手いです。
あと、ところどころセリフの脇に書かれる、手書きのギャグも好きです。

主人公は、高校生でプロ棋士の桐山零（れい）。
幼い頃、交通事故で家族を亡くし、将棋指しの、父親の友人宅で育てられ、高校生でプロになり独立したところから話が始まります。
（性格はあくまでひかえめ）
その家族との確執、対戦相手との確執、ひょんなことから知り合った両親のいない三姉妹との交流。
それぞれの人との葛藤を通じて、成長していくさまが描かれています。

この人間模様から目が離せません。
圧巻だったのが、その三姉妹の次女、中学生の“ひな”が、いじめられている友人をかばったことで、次なる標的にされ、登場人物たちがそれを通じて自分の有り方を模索する話でした。
これは５巻から７巻まで続きます。

零に相談された先ほどの高校の先生が言います。

「ここにいる人間の数だけ」の「答え」があるからこそ、この泥沼だ。
「相手に謝って欲しい人間」
「自分の立場を守りたい人間」
「子供の仇をとりたい親」
「子供の疑いを晴らしたい親」
「相手を同じ目に合わせてやりたい人間」
「ただもう一度みんなの輪に戻りたい人間」
立場も、性格も、関係してくる人間の配置も違う。
だからどのケースにも効く「完璧な答え」なんてどうやったって出てこない……。

まさにこれが、いじめ問題の解決の困難さを物語っています。

一応の解決をみるのですが、その方法とは……。
一読の価値はあると思います。

この漫画、名言の宝庫です。
読めば必ず、心に響くセリフに出会うはずです。

イチオシの漫画です。