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こんにちは。

　直樹が有喜菜の健診についていった時、
　画像に映る胎児を見て流した涙ー。

　その涙の意味は、有喜菜が想像したものとは違っていました。
　この時、直樹は既に妻紗英子と別れる決意をしていたのですね。

　果たして、直樹は彼女が出産後、妻と離婚すると宣言しました。

　ー親友から夫を奪うつもりも、家庭を壊すつもりもなかった。

　有喜菜は愕然とします。

　基本的に責任感が強く、子煩悩な直樹は心から望んで生まれてくる子を
手放すわけではありません。
　叶うことなら、手許で育てたいのです。
　しかし、現在の妻である紗英子とは、もう共に人生は歩めない。
　決めている彼にとっては、紗英子と赤ん坊と三人で家族として暮らす未来は最早、ないのです。

　ー紗英子が生命に代えても欲しいと望んだ赤ん坊だ。彼女から奪うような残酷なことはできない。

　紗英子の側から去ろうとする直樹にとって、子供を奪わないことだけがせめてもの妻にできることでした。

　直樹にとっても辛い決断であったろうと思います。

　そして、代理母を引き受けた有喜菜の気持ちにも変化が起きています。
　お腹の赤ちゃんに対して相変わらず愛情めいたものはないけれど、少なくとも無事に新しい生命をこの世に送り出したいという真摯な想いが生まれていました。

　しかし、このとき、まだ紗英子は自分の知らないところで事態が動いているのを知りませんでしたー。

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