第6回 官能小説コンテスト 選考会のようす

選考会のようす

第6回 最終選考会のようす

4月某日、「第6回官能小説コンテスト」の最終選考が行われました。

今年は新型コロナウイルスが猛威を振るっており、審査員が顔を合わせての選考会が困難となり、初のオンライン選考会となりました。そのため、選考会の様子の写真が今年はありません。

オンラインであっても、選考会はいつもどおり先生方の熱い意見がかわされました。
今年は、全員の意見がバラバラで選考が難航しました。結果、「大賞なし」という厳しい結果となりました。

以下、各審査員の先生方の総評となります。

■小林弘利先生

ネット映像を含む二次元世界でのセックスを文字起こししただけのような作品が多く、人物設定なども冴えない善人の男性とタイプの違う二人の美女で物語を展開させる、というパターンばかりだったような全体印象でした。オンライン文学だとは言え、やはり文学作品である以上は文章を通して登場人物の心の動きを描いてほしい。ヒリヒリするような思いを描いてほしい。痛みやうずきを擬音ではなく文章で表現してほしい。向こうから勝手に好きになってくれて、はいどうぞ、と足を開いてくれる、というような展開も多く、主人公がなにひとつ「事に及ぶまでの苦労」をしてない印象になる。まるで自販機のようにコインを入れたらポンっと商品が出てくるようにセックスが行われる。官能というのはそういうお手軽なものからは匂い立ってこない。作者はマンガ、ネット動画、あるいは風俗店のセックスしか知らないのじゃないか。そう思ってしまう。
生身の人間がいて、日常の暮らしがあり、そこに官能が加わることで日常が変わり、自分の中に自分の知らなかった自分を発見して当惑し、その事実を拒絶し、けれど抗うことができないまま官能に落ちていく。もう今までの自分には戻れない。それはわかっているのに引き返せない。そういう自分の変化が周囲にもさざなみを広げ、関わる人達がそれぞれに運命を狂わされていく。
官能小説というのは、そういうドラマを描くことで、はじめて人間の営みの哀切が浮かび上がってくるようなジャンルであってほしい。そうでないと、ただの読むオカズでしかなくなるし、それなら原稿用紙何百枚もの文字を連ねる意味が感じられない。と。
もう一つ。作品世界が「半径300メートル」くらいの世界しか描いていない印象が強く、もっと物語をダイナミックに動かし、背景となる風景に変化をつけていくこともあっていいかと思われます。
それでは
最終選考に残った作品たちについてのぼくなりのコメントです。今回は良かったものと、そうでなかったものとの差があまり大きくはなかったので、最終審査結果にも審査員ごとにばらつきが多かったです。そこで「官能小説たり得ているか」「男性目線だけで女性を捉えていないか」「文体に個性があるか」「読みやすい文章か」という視点でふるいにかけていった形になります。
なので大賞作品が際立っていたわけではなく、総じて減点が少なかった、ということになります。

■大泉りか先生

第6回官能小説コンテストの最終選考にノミネートされた皆さま、そして受賞された皆さま、おめでとうございます。

少し間をおいて開催された今回のコンテストですが、それが功を奏したのか、きっちりと構成が練られ、丁寧に書かれた作品が多く、楽しく読ませていただきました。

が、その一方で、残念ながら、どこかで読んだことのあるような、既視感のあるストーリーが多かったようにも思いました。例えば世の中に流通している、商業ベースの官能小説でいえば、和姦モノはハッピーエンド、凌辱モノはバッドエンドが多いですし、キャラクターについても、女性向け作品の場合は、感情移入しやすい<ふつうの女の子>をヒロインに据える一方で、<高スペックな男性>を相手役とすることが一般的です。一方で、男性向けの場合のヒロインは<高嶺の花>として描かれ、けれども都合よく主人公に陥落し、ベッドの上では驚くほど淫らに乱れてくれる。

官能小説は元も子もない言い方をすると「男女が出会ってセックスをする」という話です。たった一文で説明できる事象ですが、多くの皆さんはご存じの通り、ひとつの官能作品を作り上げるのは、簡単な話でもありません。例えば濡れ場においては、迫力や臨場感、繊細な心の動きを描写する筆力が、ストーリーにおいてはユニークな発想が必要とされます。

もちろん、読者のことを考えれば、主人公にとって都合のいい展開になるのは当然のことでもあります。官能小説が「オナニーのオカズ」という側面がある以上、いい心地のよい展開と、期待する濡れ場のシーンはマストです。

けれども、コンテストで頭ひとつ出るためには、いわゆる濡れ場以外のストーリー部分で、ありがちな展開をなぞるのではなく、オリジナリティが必要ではないかと思うのです。

もしかすると、このコンテストは、「ノミネート以前に、作品をサイトに掲載し、読者の方たちに読んでもらう」という前提があるゆえに「読者にウケる作品」ということを自然と意識することになってしまうのかもしれません。けれど、誰かがすでに描いている規定を辿るのではなく、せっかくならば、唯一無二の世界観と、最も自分がエロスを感じる濡れ場とを描いた作品をぜひ、描いていっていただくと、より優れた作品が生まれることになるのではないかと思います。

■内藤みか先生

今回最終選考に残った10作品はバラエティに富んだものでした。TL風のものもあれば百合もあり、そうかと思えば昭和タッチのものやコメディ風のものもあり、面白く目を通すことができました。とはいえ、選考しながら考えたのは「このサイトならではの個性とはなんだろう」ということを考えさせられました。

投稿された方々が、ご自身の趣向についてこだわりがあることはわかりますし、それを貫かれるべきだとも思います。とはいえこの第6回官能小説コンテストは、この「無料で読める大人のケータイ官能小説」というサイトが開催したものです。開催の目的は、このサイトをより盛り上げたいからだと思うのです。

コンテストというものは、自分の思いの丈をただぶつけるためにあるものではありません。読者を欲情させ、喜ばせる作品でありたいものです。そして応募先に合った、応募先のサイトが盛り上がるような、そんな部分も入れ込んでいる作品であってほしいと感じます。

そんなことは難しいと思うかもしれません。でも私たちプロは、日頃、いろいろなサイトから原稿の依頼を受け、書いています。常に同じ文体というわけにはいきません。サイトに多少中身などを合わせつつ、自分の色を貫いています。ぜひプロの予行練習も兼ねて、この「サイトに多少中身などを合わせつつ」の部分を備えた作品に仕上げていただきたいなと思っています。

媚びるとはまた意味が違います。それは本当に簡単なことです。「無料で読める大人のケータイ官能小説」を愛読し、サイトを好きになり、一緒にこのサイトを盛り上げたい、という気持ちになる、そういうところが必要かもしれません。ということでまずはぜひ、この最終候補作10作を読み比べて、味わっていただけたらと思います。

今回は募集期間をいつもより長めにし、たくさんの応募をいただきました。厳しい意見もありますが、バラエティにとんだ情熱のある素晴らしい作品をありがとうございました。
毎年同じこととなりますが、一つの作品を作り上げることはすごく大変なことです。書き上げ、完結することは思っている以上に難しいことだと思います。それを成し遂げることができる、それだけで大変素晴らしいことです。
総評には書き手にとってたくさんのヒントがありますので、しっかり読み、これからも挑戦していただけたらと思います。

最後になりますが、コンテストに参加された作者様、ご執筆お疲れ様でした。そして作品のご応募ありがとうございました。
また次のコンテストで皆様の作品とお会いできることを楽しみにしております。

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