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『もーいーかい』

『まーだーだよ』

『もーいーかい』

『まーだーだよ』

『もーいーかい』

『もーいーかい…』

あの時私は
かくれんぼをした。

あの桜舞い散る丘の木の裏に紫織と隠れた。

『紫織…』

『なぁに？』

私の唇と
紫織の唇が重なり合う。

『…びっくりした？』

『びっくりした…』

ータタンタタンっタタンタタンっ…
電車に揺られる音

「ああ…なんだ夢か」

ふとした瞬間に
思い出す。

ー遠い昔の記憶

何度も夢に見るので
それが本当に
あったことなのか

それとも頭の中で勝手に作った思い出なのか

時々、分からなくなる。

『し…紫織？』

『薫子ちゃん？』

そんなある日
久しぶりに紫織に再会した。