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隷属の首輪
第1章 亡国の王女ミクリアの戦い
 透き通るような雲一つない青い空と広々とした草原の緑色。

 その境界線をゆく騎士の一団。

 その先頭で武装を施された白い騎馬に乗り、第一王女であることを示す長いマントをなびかせ、黄金色に輝く鮮やかな髪を無造作に左側でまとめ『サイドテール』した私は、彼らシィーアーナ聖十字騎士隊を率いて!?
 
 魔物討伐に向かっているところです。

 シィーアーナ聖十字騎士隊は、『王直属の独立遊撃隊』でありながら、その実力は一個師団以上と言われていて!?

 また少数ながらも正規軍に、勝るとも劣らないほどの実力者集団ですのよ。

 古くから栄える我が祖国シィーアーナは、この日!? 王の勅命を受け、南に向かって出兵しているところです。

「右、遅れているわよ。しっかり私に付いてきなさい」

 素朴な感じで親しみやすさを醸し出しながら私は、鈍く光る板金鎧《プレートアーマー》で身を包んだ屈強な男性騎士達に、きびきびと指示を出すと!?

 とても綺麗な金色の輝きを放つ父譲りの自慢のロングヘアに手櫛を入れ、乱れを整えると!? 長睫毛の下でエメラルドのように煌めく瞳に地平線を映し。

 父上と母上の言葉を思い出す。

『シィーアーナに大いなる危機が迫っている!? 直ちにイシュタロスの荒野に向かうのじゃ! よいな、ミクリア』

『頼みましたよ、みく。あなたの肩には、この国の命運がかかっているのですから。必ず成し遂げなさい』

 父上はこの国の王子で、母上は東国の血を引く異邦人でしたわ。

 二人の馴れ初めについては、娘の私が言えることは何もありません。

 私は昔から黙っていても威風というか? 貫禄みたいなものを、醸し出してしまいのよ。

 それは次期王位継承者でもあり、王族に生まれてしまったのだから、まあ仕方ないことなのかもしれませんけど、自分よりも年上の人から敬語で話しかられるのは、やっぱり恥ずかしいですし。その所為で友達と呼べる存在が一人もいないからです。

 だからそんな自分を変えたくて、神に仕える聖騎士になりました。

 魔物から国民を守るのは王女の務めですし、私が前線に出て戦うことで、士気も高まりますし、国民に希望を与えることができるからよ。

 これは第一王女である私にしかできないことなのです。

 母上もそのようにおっしゃっていました。
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