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雨の日は、君と。
第2章 予期せぬ再会
 

「……もしかして、寝ていらっしゃるのでしょうか?」


こちらへ向けて問うというよりは、独り言のようなトーンで人影は首を斜めに傾げている。

それに、この声って……。


「沼田先生は席を外しているようですし、見たところカーテンが閉まっているのはこのベッドだけですね。少し様子を窺うぐらいは――」


人影の手がベッドのカーテンへと伸ばされるのを見て、慌てふためく。

カーテンにその手が届いてしまう前にと、私は声を張り上げた。


「あ、あの! 私なら大丈夫です! 今そちらへ行きますから」


大丈夫…よね?

身なりにおかしな点は無いか細心の注意を払いながら、恐る恐るカーテンの隙間から顔を出す。


「あぁ、起きていらっしゃいましたか。東雲先生」


私の存在に気付くと、にっこりと人の良い顔で微笑む長身の男性。

そこに立っていたのは、私が頭の中で思い描いていた通り……高槻先生本人だった。


「え、えぇ、横になっていたお陰で随分と楽になりました。それで高槻先生は私に何かご用で?」

「いえ、その……特別用があった訳ではないのですが。そろそろチャイムが鳴る頃合いでしたし、こちらへ来る用事のついでにと足を運んでみたのです」

「そうでしたか。それはわざわざありがとうございます」


軽く頭を下げ、礼を口にする。

 
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