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雨の日は、君と。
第2章 予期せぬ再会

コンコン。
「失礼します」
扉のノック音に続き、誰かが入ってくる気配。
え――誰…?!
「いっ! ……つう」
「あ……」
今、私は何を…?
彼の右手が後頭部から離れ、ハッとする。
じわりと口内に広がっていく、鉄臭い匂いと味。
自分の唇を人差し指で拭ってみて、その指先を彩る赤に目を奪われる。
「血……」
それは私が無意識に、彼の唇を噛んでしまった為に出血したものだった。
「あの……東雲先生、起きていらっしゃいますか?」
カーテンの傍に寄ってくる人影と声。
……!! ボーッとしている場合じゃないわ!
慌てて乱れた髪と服装を整え、眼鏡を掛け直す。
振り向くと彼はまだ熱の余韻が残っているようで、仰向けになりながらもどこか上の空のような表情だった。
彼の体調は気になるし……心配だけれど。
二人でいる所を他人に見られたら、あらぬ誤解を生むかも知れない。
それに私自身、彼の前でどんな顔をすれば良いのか分からなくなっていた。

