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雨の日は、君と。
第3章 彼の熱と名前
狭いワンルームにベッドなどという大層な物は置けない。
だから、早めに自宅に帰ってきた今。
「……まさか、彼がうちの学校の生徒だったなんて」
私は保健室で拾ってしまった生徒手帳とにらめっこをしながら、床に敷いた布団の上でゴロゴロと寝返りを打っていた。
* * *
――あの後。
結局私は生徒手帳を懐に仕舞ったまま、学校での1日を終えた。
「……今日は早めに帰って、ゆっくり休んで下さい。良いですね? 東雲先生」
「は、はい」
にっこり笑顔なのに、どうしてこう圧迫感を感じるのかしら。
今日は体調があまり良くなかった事もあり、何より高槻先生にこんな調子で自宅へと強制送還されてしまった為。
帰り路を歩く傍ら、公園に寄って行こうか、迷っていた。
けれど、雨の日ではない今日は彼が居るとは限らない。
生徒手帳には確か、彼のクラスも書き記されていたのだから……返す方法は幾らでもある。