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雨の日は、君と。
第3章 彼の熱と名前
互いの名前も、年齢も、敢えて触れずにいた私達。
曖昧な距離だからこそ、保たれていた関係。
けれど心のどこか片隅で、知りたいとも思っていた…彼の名前。
まさか、こんな形で知るとは思わなかった。
「でも、きっと……この名前を呼ぶことはもう……」
この生徒手帳を進学科に届けたら、それでおしまい。
何故なら、彼はうちの学校の生徒で、私は教師なのだから。
知らなかったとはいえ、教師と生徒が二人っきりで会うことなど、世間の目からすれば誤解を生まないとも限らない。
「だからもう、公園には行けないわね……」
そう頭では理解していても、やはりほんの少し寂しい。
予想外の形で断たれてしまった、彼との接点。
「譲…くん」
この名前を呼ぶことも、きっとこれが最初で最後。