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雨の日は、君と。
第1章 プロローグ
“またね”
この言葉はあと何回交わせるのだろう。
次にここへ訪れた時には、猫ちゃんは拾われていないかもしれない。
ううん、彼が次も現れるかどうか。
それすらも定かではない。
「そういえば……猫ちゃんの名前も考えてなかったね」
今更ながらの事実に気付く。
「次会えたら、猫ちゃんの名前を一緒に考えたいな」
出来たら、彼の名前も――
一瞬脳裏に過った願望は、さっと拭って打ち消す。
「次の雨は…いつになるのかな」
ぽつりと漏れた呟きは、雨音に掻き消されて溶けた。