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冷たい月を抱く蝶
第4章 悲しみの記憶と……
一枚の金貨が手の平にあった。
たった一枚の金貨だったけど、その一枚だけあれば、一ヶ月は食べていけるくらいの価値があった。
私は名前も知らない男の子に金貨を一枚貰った。
その時が人生で初めて、心から神様に感謝をした。
名前も知らない男の子だったけど、私には彼が天使のように見えた。
その男の子は馬車に乗ると、どこか遠くの方へと行ってしまった。
時おりその事を思い出すと、あの出来事は本当に不思議な出来事だった。
もし再びその子に出会えたら、私はその子にあの時助けてくれたお礼を言いたい。
彼が私にくれたあの金貨は、今でも心の中で大切な思い出になっている。