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ディスタンス
第3章 スイートルーム
チェックアウトを午後にしてもらって、10時過ぎに目が覚めた俺は、バスローブを着て、窓際でキャメルをふかした。


まったく。



俺も、自分の年、わかってないのかなぁ。


若くないのに、ついつい感情の赴くままに瑠生を抱いたけど…。


なんか、冷静になると、ちょっと、照れる。


そんなことを思って惚けていると、ふと、ベッドの上で、枕に頬杖をつきながら俺を見て微笑む瑠生と目が合った。

「ふふ」

「なんだよ」

「なんでもなーい」

俺は、そんな瑠生のそばに歩み寄って、ベッドの脇に座ると、タバコをくわえたまま、瑠生の髪を撫でた。

「ランチ、何食べたい?」

「ステーキ!」


まったく。昨夜はあんなに熱情的で、挑発的で、艶っぽいオンナだったのに、今は色気より食い気か。


俺は吹き出して笑うと、タバコをベッドサイドの灰皿に押し付けて消して、

「あと1分以内に起きて支度しないと、また、ヤルぞ」

と言うと、瑠生はそれでもなんだかまた嬉しそうに笑った。
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