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*。:゚+ 小鳥遊 医局長の恋+゚*。:゚
第7章 フラッシュバック
あの時の景色が冬の目の前には広がっていた。あの日も同じように冬が運転をしていた。煙があがる車から、よろよろと出てきて、倒れこんだ男性。対向車がハンドルを誤り、反対車線に飛び出し、突っ込んできたようだった。今、目の前であったばかりの事故に冬は呆然としてた。

「トーコは、救急車を呼んで!ここで待ってて!」

―――バタン。

車から降りて、男性に近寄るエリック。

冬の後方にはかなりの渋滞が出来ていた。冬は911をコールした。対向車が来ていることも知らず、待っている冬や数台の車を追い越そうとした車。対向車を避けようとハンドルをきった先には、エリックが…。鈍い音がすると,冬のフロントガラスに血が飛び散り、涙のように垂れていく血液の、その向こうには、車の間に挟まれて、驚いた顔をして冬を見つめるエリックの姿があった。

誰かが叫んだ…と思ったらそれは自分の声だった。

(大丈夫ですか?もしもし…)

携帯が冬の手から滑り落ちた。

「エリック!!エリック!!」

冬は夢中で駆け寄った。

OH MY GOD! OH MY GOD!!

車から降りて来た人々が、その光景を見て口々に叫んだ。対向車も追い越しを掛けた車の運転手も、車の中で気を失っていた。人々はその二人の救出に向かい、野次馬はエリックの周りを取り囲んでいた。

すぐに救急車と特殊救助隊の消防車の音が聞こえて来た。

「トー…コ…僕は…大丈…夫…だか…ら。」

エリックは、丁度胸の下辺りを車の間に挟まれていた。冬に微笑んでいたが口元からは、血液がたらたらと零れ続けた。

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