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*。:゚+ 小鳥遊 医局長の恋+゚*。:゚
第7章 フラッシュバック
モールへと続く国道。時速45キロの道をノロノロと行く車。
対向車が居ないと後続車は次々とその車を抜いていく。
「せんせ…あの車…何かおかしい。」
それには小鳥遊も気が付いていた。アメリカでは、80歳でも普通に運転している。ノロノロ運転も結構多い。車が無いと生活が成り立たないからだ。しかし前方の車の運転手は,老人では無いようだった。
「携帯電話でも掛けているんですかね?それとも故障?」
小鳥遊は数台先にあり、どんどん追い越されていく銀色のセダンを眺めていた。その車を追い越す時に、クラクションを鳴らしたり、窓を開けてわざわざ何かを叫ぶ人達もいた。冬がそのセダンを追い越す番になり、追い越そうとウィンカーを出した時に突然車は止まった。
「わっ…。Are you OK?」
冬は慌ててブレーキを掛け、思わず小鳥遊の身体を右手で庇うように抑えた。
「僕は大丈夫ですよ。」
小鳥遊が静かに冬に答えた丁度その時、車から40-50代の男性がよろよろと出て来て道路に倒れ込んだ。
…あっ!
冬はハザードを出し車を路肩に止め、エンジンを切った。後部座席の2人の小学生ぐらいの子供が道路へと飛び出してきた。
―――バタンッ
助手席のドアが閉まる音に冬はハッとした。小鳥遊は車から降り対向車や追い越して行く車に注意しながら、その男性の元へと向かっていた。
―――突然のフラッシュバック。
エリックと小鳥遊が重なった。
…あの時と…おんな…じ。
小鳥遊が道路にしゃがみ込み、男性に話しかけるのを見た瞬間、冬は頭が真っ白になり、糊付けされたように体が竦み、お尻がシートに張り付き身動きが取れなかった。
…怖い。
心臓の鼓動が耳の傍で早鐘のように聞こえ,手足が一気に冷たくなった。そして目の前がクラクラしだした。まるで嵐の日に小さな小舟に乗っているようだった。
…嫌だ。
小鳥遊が子供達に何か指示すると、道路の脇へ歩き出し、安全な路肩で不安そうに男性を見ていた。
…やめて。
手足の感覚は麻痺し、それと共に意識はあの時の光景を強制的に鮮明に冬の目の前にアップロードを始めた。
…見たくない。
叫んだつもりでも喉は乾き、声は出なかった。自分で息をしているのかも判らないぐらいに意識と感覚が体から引き剥がされていく…。
対向車が居ないと後続車は次々とその車を抜いていく。
「せんせ…あの車…何かおかしい。」
それには小鳥遊も気が付いていた。アメリカでは、80歳でも普通に運転している。ノロノロ運転も結構多い。車が無いと生活が成り立たないからだ。しかし前方の車の運転手は,老人では無いようだった。
「携帯電話でも掛けているんですかね?それとも故障?」
小鳥遊は数台先にあり、どんどん追い越されていく銀色のセダンを眺めていた。その車を追い越す時に、クラクションを鳴らしたり、窓を開けてわざわざ何かを叫ぶ人達もいた。冬がそのセダンを追い越す番になり、追い越そうとウィンカーを出した時に突然車は止まった。
「わっ…。Are you OK?」
冬は慌ててブレーキを掛け、思わず小鳥遊の身体を右手で庇うように抑えた。
「僕は大丈夫ですよ。」
小鳥遊が静かに冬に答えた丁度その時、車から40-50代の男性がよろよろと出て来て道路に倒れ込んだ。
…あっ!
冬はハザードを出し車を路肩に止め、エンジンを切った。後部座席の2人の小学生ぐらいの子供が道路へと飛び出してきた。
―――バタンッ
助手席のドアが閉まる音に冬はハッとした。小鳥遊は車から降り対向車や追い越して行く車に注意しながら、その男性の元へと向かっていた。
―――突然のフラッシュバック。
エリックと小鳥遊が重なった。
…あの時と…おんな…じ。
小鳥遊が道路にしゃがみ込み、男性に話しかけるのを見た瞬間、冬は頭が真っ白になり、糊付けされたように体が竦み、お尻がシートに張り付き身動きが取れなかった。
…怖い。
心臓の鼓動が耳の傍で早鐘のように聞こえ,手足が一気に冷たくなった。そして目の前がクラクラしだした。まるで嵐の日に小さな小舟に乗っているようだった。
…嫌だ。
小鳥遊が子供達に何か指示すると、道路の脇へ歩き出し、安全な路肩で不安そうに男性を見ていた。
…やめて。
手足の感覚は麻痺し、それと共に意識はあの時の光景を強制的に鮮明に冬の目の前にアップロードを始めた。
…見たくない。
叫んだつもりでも喉は乾き、声は出なかった。自分で息をしているのかも判らないぐらいに意識と感覚が体から引き剥がされていく…。