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ハツコイ♥アゲイン
第7章 惚れない理由が無い

店長が走り始める前に、自分の体が飛び出していた。


「~~駄目だよ僕が行くよ、危ないから……!」


背中越しに制止の声が聞こえてきたけど
私の視力1.8の両眼が既に、約10m先を走る痩せ形の男を捉えている。


……カウンター横に並べているフード商品は
テイクアウトのお客様には必ず紙袋に入れて渡すのが、うちのカフェの決まりだ。


だけどあの男、サンドイッチとパニーニを直に掴んでいる。

時給1150円(早朝手当)の私が、ひとつひとつ丁寧に作った
タンドリーチキンとトマトのサンド420円と
スモークハム&チーズのカリカリパニーニ380円を……!!



「待て泥棒!!」


自分の人生で、この台詞を叫ぶ境遇があるなんて思いもしなかったけど
私の大声によって、ビクッと肩を上げた男がさらに加速したから……


……間違いない!


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