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第12章 restart

「変わんねぇな」


ジョッキをテーブルに置いて、陽向がタバコの箱を手に取る。


「女の幸せとか男の友情とか、そーいう漫画みてぇな展開が大好物」
「………！」
「飲みの席でも、自分の理想を熱く語ってたよな。
今の予測妄想話を聞いて思い出した」
「ちょっと。その言い方」


彩ちゃんがビシッと人差し指を突きつけた。


「先週、立花くんより優しいって言ったの撤回するわよ」

「優しいか？ 俺」

「優しいでしょ。
夫の愚痴を吐く女に、慰めの言葉をかけてくれたんだから」

「……！」

「冗談でも嬉しかった。
あなたは女心がよく分かるのね」

「………」

「翔ちゃんとは大違い」



“ 俺だったら、泣かせない
何があっても絶対に ”



「…… “ 冗談 ” 、ね」



ライターで火を付けて、煙を浮かべた陽向。


そして
少し間を空けてから、再び口を開いた。


「彩」

「うん？」


「俺が
お前に本気で惚れてるって、気付かねぇの？」