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第12章 restart

店員にグラスを返して、同じビールを注文した翔太が
彩ちゃんが座っていた位置に腰掛けると


「彩、あいつ最強だわ」


俺の心の声と同じ言葉が、陽向の口から漏れた。


「踏込む隙なく秒殺しやがった。
マジであっけなかったな」


自虐的発言をする陽向の肩が揺れて

……うん、笑い堪えきれてないよお前。
この状況が可笑しくて仕方ないって感じ……



「で、翔太。いつから来てた？」
「……！」
「俺達の遣り取り、どの辺りから見物してたよ？」


ニヤニヤして挑発する陽向。
睨みつける翔太。


……やばい。
なんつーか、なんだこの感じ。

本来なら一発触発なシーンになるはずなのに

久しぶりに目の前で２人が向き合う姿を見て
俺だけ変な高揚感でいっぱいなんだけど。


「……見物なんてしてねぇよ。
昨日突然彰に呼ばれて仕方なく、今さっき着いた…」

「嘘付けアホ。
最初からその柱の影に隠れて覗いてたじゃねぇか」

「……！」

「態度に出てんだよ。隠し事下手過ぎ。
ほんと昔から変わらねぇのな」