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第2章 兄妹格差

「素敵な嫁を貰えて、お主は幸せよのう」


お母さんと香さんの会話が盛り上がっているので
ソファの上で胡坐をかきながら、私はお兄ちゃんの方に体を向けた。


「なんだよその言い方」

「飲料水メーカー超大手で働いてて、こ～んな綺麗な人が奥さんで
いいよねお兄ちゃんは幸せでっ！」

「お前は “ シアワセ ” じゃねぇの？」

「私のど・こ・が幸せに見えるんですか～？」


アイスティーを音を立てて啜りながら、ぶっきらぼうに言い放つと
ロールアップしたブラックデニムの脚を組み直して、お兄ちゃんはふっと笑った。

・・・笑いやがったな？


「……お兄ちゃん。
言いたいことがあるならハッキリ言えば？」

「いや、ちょっと過去を思い出して」

「過去？」

「３年くらい前だっけ。
俺が夏休みで帰って来た時、お前かなりリア充アピールしてきたじゃん」

「………！」

「ゼミ行ったりバイトしたり、海も行くし花火も行くし忙しいって。
相当幸せそうだったよな」