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第5章 妹の元カレ×元カノの兄

「── 楽しいな」


テーブルの上のキャンドルライト。
オレンジ色の炎を見つめながら、思わずそう呟いた。

自然と感じる心地良さは、やっぱり昔と変わらない。


「当時と同じ気持ちに戻ってるよ。
楽しいけど、切ない、的な」

「はぁ？ なんだそれ」

「同じくバカでアホだけど
陽向だけいつも１歩前にいる感じ」

「………！」

「誰もが国内の有名企業を目指して、マニュアル通りに就活する中で
自らの構想や未来像を心に宿していたのは……陽向、お前だけだった」



“ お前の妹、俺が貰ったから ”

“ ……冗談だろ ”

“ 本気。大事にするって約束する。
期間限定だけど、真剣に付き合うよ ”

“ 期間限定？ ”

“ 大学卒業まで。
……胡桃も了承済みだから ”



交際宣言された、９年前の場面を思い出しながら
俺は静かに続けた。



「大学を卒業して、海を渡って７年か。
お前が日本で勤務できたらいいのにな」

「………」

「戻って来れないの？」