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ドラスティックな恋をして
第10章 他人の目に映る自分・・
「だけど別々に生活してるって、心配じゃないですか?
 物騒な世の中っていうのもあるけど。
 体大丈夫かなとか、倒れたりしてないかなとか。
 あと生活費も二重にかかるわけでしょう?」

田村の現実的な言葉に、悟志も依子もかすかな反応をみせたが、
加えて依子は自分のしている事の後ろめたさもさらに感じた。

「まあ・・たしかにね、体の心配したりお金の心配したり、いろいろあるけど・・
 それよりも自分の生き方、みたいなのを今はまだ優先したい。
 それができる状況だからさ」

悟志の声は穏やかだった。
夫婦の距離もそうだが経済面でもなんらかのマイナスは抱えているだろうに、
それでも晴れやかな顔で後輩にビールを勧める悟志。
それぞれの気持ちを大切に考えてくれているからこそ、
妻の我儘を黙って受け入れてくれているのに・・

だんだんと依子の心は罪悪に締め付けられてきた。
こんなにも理解ある夫を裏切っている事が、
裏切りという行為をしているんだという事が、やっと実感できた瞬間だった。

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