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第6章 人妻

降り立った場所は本当に何もない路地だった。
しかし、一番復興が速いだけあって、建物は破損したままでも瓦礫が一定間隔に積み上げられ、徐々に撤去されているようだ。


「流石、やり手と言われるだけありますね。」


「はい…。凄いです……。」


リリィは自分の街と比べている様で、神妙な顔付きで辺りを眺めていた。


「領主の家はあの角を曲がった先のだそうです。
行きましょうか。」


「はい。」


角を曲がるとなかなかそれなりに立派なお屋敷があった。
平屋造りのお陰で倒壊を免れたようで、脆い物置のような物以外は従来の姿を保っている風に思えた。


「自宅がそんなに被害にあっていないお陰で、きっと民の方に全力を注げたのでしょうね。
これぞ不幸中の幸いでしょうか。」


「でも、領主様のお宅は何も手が付いていないように思います。」


「その分、街に尽力しているのでしょう。
皮肉な話です。」


そんな話をしているうちにお宅の門までたどり着いた。