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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

 最後は唯の方から、求め押しつけたような――接触。



「――――んっ!」



 その寸前の言葉で、何かを激しく乱されていた結果。


 正直はその感触を、驚きと息苦しさに掻き消されていた。


 だが――



「ふぅ……」



 その吐息を漏らしながら、唯は――


 正直の首を両腕を絡め取ると、より強く深くまで。


 更に重なり合うことを、欲するかのように。


 それは、触れ合うとするより――衝突的な、キス。


「――!」


 酸素を得ようと開いた口に――


 スッと差し込まれた感覚に、今度は焦っている。


 唯の舌先はまるで躊躇なく、正直の口内での異物と変わった。


 感触が興奮になる間も無く、感情だけが四方へと散らかってゆく。


 だが、程無くして――


「……?」


 正直は、妙だと思っていた。


 左様に積極的でありながらも、唯は――


 あまりにキスという、その行為に不慣れであるように感じていたから。


 正直の口の最中で、その舌先が振るえていた。

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