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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】

 ピピピ、ピピピ――

 アラームの耳障りな音。

「ん……!」

 丸めた毛布と共に乱れる、ベッドの上。カーテンの隙間より、差し込む陽射しが眩しい。

「ふぁあ……眠っ」

 欠伸をしつつ、とりあえずスマホのアラームを停止。しかし、まだ呆然としながら、雑然とした男の一人暮らしの狭い部屋の中を見渡す。

 見慣れた風景の中で、目が覚めて――朝。

 目覚めたのだから、朝なのが当然と言うならやや語弊があろう。殊に怠惰な大学生の場合は、そうとは限らない。実際に午前中の内に始動するのは、今週まだ二回目のことだった。

 そんな大学生活を送り続けて、今年で四年目。

 ともかくこの時点に於いて、其処はまだ日常の一コマだった。

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