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【マスクド彼女・序】
第2章 前日【楽園からの誘い】

 そうして暫くすると、いつの間にか眠気に襲われている。


「――!」


 微睡の途中で、ふと気づく。飾り気のない部屋の目の前の壁に、只一だけ小さな絵が飾られていた。


「ん……?」


 正直は、ぼうっとした眠そうな瞳。暗がりの中で見つめたのは――額縁に入った、黒猫の絵。


 不思議と何処かで見たような絵。否、見たような気がしたのは、その『黒猫』なのだろうか。


「気の……せい……だ、ろ?」


 別に……何処にでも居そうな、猫。

 僅か気を止めたのも束の間。


 この夜、正直はそのまま夢の最中へと誘われていった――。

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