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三人の王子の物語
第5章 終わりの書

最後に、三番目の王子様が呼ばれました。
「この王子の代わりになりたい者はいるか。」
王様はまた同じ質問を繰り返しました。
すると今度は、美しい女性が歩み出て
「私が代わりになります。どうか王子様を助けて下さい。」
と言いました。
その人は王子を愛していて、王子もその人を愛していました。
ですから王子は
「私のために君が死ぬのは耐えられない!」
と叫び、王様に慈悲を乞いました。
王様は頷くと、その場にいる人皆にこう言ったのです。
「この三番目の王子を次の王にする。」
と。
人々は驚き、口を大きく開けています。
「私は最も女性に愛された者を選ぶと言った。」
王様は息子達を見ながら語りかけました。
「それは最も深く愛された者という意味で、最も多くの女性に愛されるという意味ではない。」
王様は一番上の兄を見つめて言います。
「自分のことしか考えず、相手を思いやらない者に王になる資格はない。」
次に二番目の兄に言いました。
「物事を見ようとせず、大切なものを持たない者に国を治めることは出来ない。」
そして最後に、三番目の王子様を見ました。

