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初めての性体験 二十代女性(匿名希望)
第10章 エピローグ
それから私は、しばらく気を失っていたようです。
気がつくと、ベッドで横になっていて、上から布団を掛けられていました。
目を開けると、まだ視界はボンヤリとしています。
傍に、おじさんが佇んでいました。
いつも被っているキャップが見当たりません。
初めて見るおじさんの頭は、短く刈られた短髪でした。
毛髪全体のバランスが不自然です。右半分にだけ多く茂っているように見えます。
目を凝らしてよく見ると、左半分の所々に、痛々しい、ただれた痕のような“肌色”が映えていました。

おじさんは「起きたかい」と言うと、静かに語り始めました。
「僕のお母さんはね、酒を飲むと変わってしまう人だったんだ。頭のコレはね、その“変わってしまったお母さん”が、幼い僕に熱湯を浴びせてしまったことによる火傷の痕なんだ。近所の人が僕の悲鳴を聞いて、警察に電話してくれたから、まだこんな痕程度で助かったんだ。でも、お母さんは…お母さんは…僕に熱湯を浴びせた直後に家を出ていって、しばらく行方をくらませた後、水死体となって発見されたんだ。お母さんは…お母さんは悪くないのに!お母さんは悪くないのに!悪くない!お母さんは悪くないです!」

目の前で咽び泣くのは、おじさんではなく、哀れで、可哀想な“男の子”でした。
普通なら怖くなって逃げ出したくなる状況だったと思います。
でも、その時の私は、何度もイカされた直後で、女性ホルモンが多く分泌されていたのかもしれません。もしかしたら、イカされすぎて頭が麻痺していたのかもしれません。
あるいは、何かが憑依していたのかもしれません。
その子が、目の前に映るその“男の子”が、哀れで、可哀想で仕方なくって、抱きしめてあげたくなったのです。

両手を広げ、全身で受け入れることを、態度で示しました。
「お母さん!」
飛び込んできたのは、グロテスクな頭部ではなく、愛おしい“我が子”の華奢な頭でしかありませんでした。
そっと撫でてやりました。
「お母さんごめんなさい!お母さんごめんなさい!」
私の全てを頼りにしてすがりつく、明らかな“我が子”でした。

「いいのよ、あなたは悪くないのよ」
口が勝手に動きました。


それからというもの、おじさんと二人きりになって、“妙な感覚”になってくると、何かが憑依してくるような、不思議な感覚が並行するようになりました。
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