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ねぇ、私だけをみて
第4章 一方通行
土曜日。

初めてご飯した居酒屋さんで待ち合わせをした。

「何飲む?」

『強めのカクテルで…』

シラフでいたいけれども、心が壊れそうでお酒の力を借りないといられなかった。

「………」
『…………』

重たい空気が流れる。

『……話ってなに?』

「あ、いや、、えっと…」

彼は言いにくそうにしていた。

『…別れたいんでしょ?……彼女が好きだから』

「…えっ?!」

『…見たんだ…あの帰る時…っ、、私には見せたことない顔だった…から』

言葉に詰まって泣き出してしまった。

「…ごめん、俺が悪いんだ…さくらは何も悪くない…俺があいつの優しさに惚れてしまったから」

『…っ、…っく、、私のことは遊びだったんだね?』

沈黙の時間が流れる。

こんな時に酔えてたら違ったのだろうか。

あの子のところに行かないで、と言えれば可愛かったのだろうか。

出逢わなければこの人を苦しめずに済んだのだろうか…。

心が冷えていく……

『…短い間だったけどありがとう。……っ、彼女と幸せになってね』

出来るだけの好きだと言ってくれた笑顔と店の清算代金を残して店を後にした。
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