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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
 


「駄目、か……ちょ、あんっ」


 いやらしい指が、ショーツの中で花弁を割った。

 同時に乳房も攻めたてられ、ぶるぶると震えながらあたしは喘いだ。


 どうして抵抗出来ないのだろう。

 病人相手ならなおさらどうとでも出来るのに。


 されていることよりも、彼の匂いがもうたまらない。

 思考が乱れて、本能に還る。

 熱出している病人なのに、身体が彼を欲しくてたまらない。


「課長、課長、やめて、ね、熱で……」


 また抗する言葉を吐く唇を奪われた。

 舌の動きに翻弄されている時、ショーツの中で課長の手が激しく動く。

 濡れきっているぬかるみが、いやらしい音をたてる。

 
 気持ちいい。

 あたしの気持ちいいところばかりを攻め立てるから、駄目だ。もうこんなに早く、イッちゃう――。


 こんなはしたないところを彼に見せたくないと、やだやだとあたしは頭を横に振った。今は九年前とは違うのだから。だが、


「――っ、――っ!!!」


 ディープキスで言葉を奪われたまま、彼の身体で抱きしめられるようにして、あたしは課長の指でイッてしまったのだった。

 びくんと身体が強ばったその瞬間、顔から大量の汗を垂らしている課長が、乱れた前髪の隙間から琥珀色の瞳を向けて、柔らかく嬉しそうに笑った気がした。


 その瞬間、あたしは悟った。


 ああこの男……、汗を掻いて熱を下げているのだと。

 熱が下がったら、なにをする気?


――セックスしましょう。


 神様お願いです!

 課長の熱を下げないで下さい。


 そう思うのに、彼はあたしに覆い被さってきた。

 挑発的な眼差しで。



「看病のお礼を……」

「いらない、いりませんってば!! 課長、まだ熱ありますって!」

「この熱は……寝ていないからです。連日全然寝てません、ので」


 怖っ!!

 その目怖っ!!


「それなら寝ましょう? ね?」

 
 そしてあたしは帰る。

 こんな猛獣の住処からタクシーで帰る!


「帰らないと約束、したのに。お仕置きを……」

「!!! いや、帰りませんから。居ますから」

「大丈夫、そんな警戒しなくても。私はまだ勃ちません。それまであなたに奉仕しますから」

「はい!?」

 


 ……それはまだ夜明け前のことだった。

 
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