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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
 

「まだ四つもあるんだよ?」

「四つしかないんだ! 六時になったら絶対買いに行って、あなたを愛しまくってやる!」

 そうか、朱羽くんは朝一番でえっちなものを買いに行くのか。チェックアウトするまでに何回する気なんだろう。

「ふふ、お手柔らかに」

「その余裕なくしてやるから。覚えてる? 俺のを挿れた時のあなたのうっとりとした顔。あんなに気持ちいい、もっと奥までって啼いて……」

「わーわーわー、黙って、黙ってよ!!!」

「ははは。今は休憩しよう。陽菜も疲れただろう。酒飲める?」

「飲めるけど」

「材料が揃えば、簡単なのならなにか作ってあげる」

「え、あのホームバーで?」

「うん、せっかくあるんだから」

「朱羽作れるの!?」

「別に上のBARのバーテンのようにシェイカー振ったりとかじゃなく、作れるって言っていいのかわからない程度だけど、渉さんと住んでいたところにホームバーがあって、よく俺、渉さんに作らせられていたから。酷いだろう? 未成年に与えたジュースで酒を作らせたんだよ、あのひと!!」

 そう文句を言いながらも、朱羽の顔は怒っていない。

 想像したら笑えてきた。朱羽はきっと文句を言いながらも、専務のために作ってあげていたんだろう。

 本当に朱羽と専務は仲がいいんだね。

 朱羽は下半身だけ、戒めのように下着とズボンを穿いた。

「さすがに、全裸でうろうろするのはみっともないから。ああ、あなたは全裸でいていいよ? どうせすぐ脱がしちゃうんだから」

「あたしも服を着ます!」

「ははは。じゃあまたあのワンピース着て? レンタルなのが気にくわないけど、可愛かったから」

 さらりと可愛いと言われるのに、いまだ慣れずに照れてしまう。

 眩しいほどの笑みを見せる朱羽は、上半身が裸だ。

 適度についた筋肉と、あたしをすっぽり包み込めるほど広い肩幅をした、男らしい身体だ。普段どこに色香が隠れているんだろう。

 そしてあたしは、ふと彼の左胸の横の方にあった引き攣ったような痛々しい傷跡に気づいた。いつも真っ正面から見るか服を着ていたから気づかなかったのだ。
 
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