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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
 


――なにが怖いんだ、処女ぶって。それともお前にはまだ調教が必要か? また母親の前で犯して……。

 身内の前で、血の繋がった者に犯される恐怖は、あたしが一番よく知っている。


 あたしはスマホを持ったまま、観葉植物を掻き分け進む。

 そして――。


「あ~らこんにちは。千絵ちゃんと向島専務。昨日ぶりかしら」


 千絵ちゃんと専務は驚いた顔をしてあたしを見上げた。

「まさか表参道で合うなんて。凄い、なんか運命的なものを感じるわ。そう思わない?」

 にこにこと笑いながら、千絵ちゃんと向島専務を見る。

「今の……っ、聞いてたんですか!?」

 怯える千絵ちゃんにあたしはスマホを見せた。

「聞いてたというより、動画で撮っちゃった」

 専務はちっと舌打ちして、タバコを吸おうとする。

 あたしは口に咥えたタバコを指で摘まんで笑った。

「このお店、全席禁煙なんですって。駄目ですよ、社会的にいけないことをしては。タバコも、その他のことも。どんな場所に、特ダネ掴もうとマスコミが潜んでいるかもしれないんですから。向島さんのイメージ悪くなるでしょう? ね?」

 それでもタバコを出して、火をつけた。

「ああら、言葉が通じない方は、調教しないと」

 あたしは内心怒りながら、千絵ちゃんのところにあるお水を、専務の顔にかけた。

 ちょっぴりの水しか入ってなくて彼の顔より、タバコの方に水がかかり屈辱感は味合わせられなかったなりにも、タバコの火は消えたことで専務は逆上した。

 ……だからここは禁煙なんだよ!!

「貴様……っ!!」

「ここは禁煙です。世界はあなた中心には回っていません」

「なんだと!?」
 
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