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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
  

 もともとはスピードとドライビングテクを競い合うF-1で有名なメーカーの車だから、この車もエンジンからなにからスピードに耐えられる造りになっている。つまり、お得意の分野で優秀さを証明し始めたのだ。


「ちょ、朱羽スピードっ、危ないっ、死ぬっ、朱羽!!」

「わかる!? 今俺の理性、こんな感じなんだよ!!」

「ひっ、わ、わかりましたっ、身に染みましたっ!」

 前の車が慌てて隣の車線に入る。

「もう車で、突然俺を煽るようなことは言わないね!?」

 今なにかスポーツカーみたいの楽に追い越したよ。

 びゅんと一瞬で。

「い、言いません。言いません!」

「"とび出すな、男は急には止まれない"……いいね!?」

「そ、それは"車"が急には止れないのでは……」

「もっとスピード出す!? なんなら最高速度まで行くか!?」

「い、いいえ、わかりましたぁぁぁぁぁ!!」


 ……それからフェラーリは減速し、緩やかに走行した。

 よかった、警察に見つからなくて。まあ見つからない確信があったから、スピードを出したのだろうけれど、見つかったら免停だ。

 そうしたらあたしが帰りに、この怖いフェラーリを運転する羽目になる!!

 あたしはおとなしく雑談をすることにした。

 朱羽はおとなしそうに見えながら、別に無口なわけでもないし、こちらが会話に困ったり、退屈することはない。

 以外に営業向きかもしれないと思いつつも、WEB部から絶対出すまいと改めて心に誓った。


 
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