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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
「もういいのか、お前にとってこいつは! 退職願を出したらそれで終われるのか、こいつも俺達も。お前にとってシークレットムーンに所属している連中は! 俺も鹿沼も含めて、そんな紙切れ一枚で断絶できるような、そんな程度でしかなかったのかよ!?」
「じゃあ他にどうすればいいんだよ!!」
朱羽はまっすぐに、睨み付けるように結城を見据えながら、日頃の彼らしからぬ怒声を上げた。
「俺から会社を切り離さないと、シークレットムーンは今度は忍月の力で潰される。俺も辞めなきゃならないんだよ!! 辞めて、あなた達とも無関係だとそう言い張って、忍月の力でシークレットムーンを守らないと!!」
シークレットムーンが潰されるなんて、あたし朱羽に聞いていない。
そんなこと、朱羽はひとりで抱えようとしてたの!?
「未練があるなんて知られたら、完全に潰されるんだよ!! 会社も陽菜も、俺の手の内にないなら切り離すしか。そうじゃなかったら、誰がこんな辞表出したり、陽菜を結城さんに頼むなんて言うんだよ! そんなことしたくないよ、陽菜にも辞表を出させず、ここで社長になったあなたを支えたいよ。そうあなたにも約束したのに、反故になんかしたくない!! だけど、仕方がないだろう。俺が、俺が!」
「は……」
結城がため息をついた。
「おい、皆。ようやく言ったぜ、こいつの真情。鹿沼にも劣らず、香月も本当に頑固で、そう簡単には心を見せないから」
あたし達はきょとんとして結城を見上げた。
「だからお前は!! どうしてひとりでなんとかしようとするんだよ、アホ!!」
結城は朱羽の頭に拳骨を食らわせた。
「お前もだ、アホ2!!」
あたしまで拳骨を食らった。
「そんなに頼りないか、俺達は。俺は!!」
結城の真剣さが痛い。
「守るという建前で、結局は簡単に捨てようとする。香月、お前だって忍月と同じじゃねぇか。お前、されて嫌なことを俺達にしてるだけだぞ!?」
「なっ!?」
朱羽の表情が崩れた。