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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
 


「香月ちゃん。このマグロあげる」

 杏奈の声に朱羽は笑う。

「ありがとうございますっていう感じですね」

 マグロ……ありがとうっていう感じ?

 これはただの会話かしら。

 すると杏奈がえへんえへんと咳をして、あたしを見ている。

 え、教えてくれたの?

 ありがとうっていう感じ……漢字?

 ありがとうの漢字は、有難うだけど……ああ、"有"だ!

 あたしは"鮪(まぐろ)"と書いた。

 これで七つ書けて、初めて名取川文乃の元に並んだけれど、あたしの後ろに一気に八人ついた。

 まさか皆が出してくれたヒントから連想する同じ漢字を書いていたら、どうしよう。不正をしているってばればれじゃないか。

「鮭、鱈、鯵、𩸽[魚へんに花]、鮟、鰹、鮪……はい、七ついいでしょう」

 そう言われてあたしはほっとした。

 心配で後続の社員を見守る。

「鮭、鮪、鰤(ぶり)、鯏(あさり)、鮹(たこ)、鯵、鰹……よろしいです」

 社員達が書いたものはすべて、あたしとすべてが被っているわけではなく、そりゃあヒントを貰ったところは重なってはいるものの、名取川文乃に駄目出しを貰うほどでもなかったようだ。

「鮭、鯛(たい)、鰯(いわし)、鯉(こい)、鰻(うなぎ)、鯨(くじら)……ああ、これは×。魚編に青でさばではないわ。あなたは六つね」

 まるで思いつかなかった漢字が出てくる。


「鮭、鰆(さわら)、鯛、魬[魚へんに反](はまち)……あなたは前に鮃(ひらめ)と鰹と鮪があったから、七つね」

 ……皆頑張っている。
 
 あたしはこの中で、杏奈に次いであたし達同期が一番年上だから、あたし達がなんとかしないといけないと思っていたけれど、今年入ったばかりの新入社員もよく知っている。

「私、漢字検定一級持っているんです」

 そう笑う女の子がいたが、それでIT会社って宝の持ち腐れのような気がする。だったら出版社に勤めた方がよかったのに。

 七つ以上答えられた女子は、杏奈と衣里とあたし以外に三人。

「俺、寿司屋の茶碗にある魚へん、小さい時から覚えていたんです」

「俺、寿司屋とか魚屋のホームページ作ったことがあるっす! なんとか、思い出したっす!」

 男子は朱羽と、自力で七つ答えた木島くんと、その他の男性社員が五人。

 つまり女子五名、男子七名の半数以上だ。
 
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