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*。:゚+ 小鳥遊 医局長の結婚生活+゚*。:゚
第8章 崩壊
遮光カーテンがひかれた薄暗がりの中、乱れたベットの中央で全裸で眠る小鳥遊がいた。それだけでは無かった…両隣りには全裸で若くて細い見知らぬ女性2人。そっとゴミ箱を覗くと沢山の使用済みのコンドーム。
まるで嵐の中の小舟に乗っているように、冬の視界がぐらぐらと揺れた。ベッド、ごみ箱の中、散らばった洋服…冬は携帯で次々に写真を撮った。

…こんな時に冷静な自分って…一体。

たった数週間自分がいないだけで…しかも今日帰ると伝えていたのにも関わらず…冬は涙すら出なかった。

メモに震える手で走り書きをして、その上に指輪をそっと置いた。自分の寝室部屋に入り、看護師免許やパスポートなどが入ったバックを掴んだ。

――――― ふえっ…ふえっ…ふえぇぇぇん。

玄関でバギーに乗せたままの夏が、冬の代わりに泣いた。

「ごめんね…ちょっと待っててね。」

持ってきた荷物をそのまま全て持って、ドアを開けてバギーを押して出た。夏の声が広い通路に響いた。

――― バターン

玄関のドアが全てを断ち切るかのように大きな音を立てて、冬の背中で閉まった。重い筈の荷物もバギーもその重さを全く感じなかった。

…現実感が無い。

自分と世界が切り離されてしまったような不思議な気分だった。エレベーターに乗ると、泣き続ける夏に華まで目を覚ましてしまった。

…夏さん…私の方が泣きたいよ。

すぐに現実に引き戻された。まだ先ほどまでエンジンが掛かっていた温かい車内に二人を乗せた。夏におしゃぶりをあげると チュッチュッと音を立てて吸い、静かに目を閉じた。荷物とバギーをトランクに放り込みエンジンを掛けた。

…出張所なら開いている筈。

冬はその足で、役所へ向かった。

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