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壊してほしい
第1章 拾った女の子
『眠い………』
結局一睡もしてないまま、氷月はカフェの厨房にて仕込みをしている。
朝7時。
『テーブル拭きました!次はどこ掃除したらいいですか?』
雫石は布巾を片手に、
掃除をしている。
――氷月のセーターとズボンを着て………
『……えーと、
棚拭いたよね?
んじゃ床全体にコロコロかけて』
氷月は仕込みをしながらトーストを2枚焼いた。
コンロではハムエッグを作る。
『し……雫石?
朝ごはん食べよう』
恥ずかしい。
女子の名前を呼んだのなんて何年ぶりだろうか?
祖父が倒れて以降、
店を継ぐことだけに必死で女子となんて関わってなかった。
『あ……はいっ♪』
雫石は嬉しそうにカウンター席に座る。
『コーヒー飲む?
苦手なほう?』
キッチン越しに訊くと、
『ミルクありでもブラックでも好きです』と元気な返事。
『ほ〜い』
雫石が笑うと何だか嬉しい。