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壊してほしい
第3章 染めたいよ
『よーっし。
マフラーしたし、モコモコダウンだし………
携帯持ったね』

夜9時。


2人は厚着を確認し、

外に出た。



『うわー、寒っ………』


『寒いな、ホントに。
雫石、手ぇ貸しな』
氷月は雫石の左手を握った。


プラプラと歩く。


『星がキレイだね。
空気が乾燥してたらこんなハッキリ見えるんだね』

雫石が空を見上げた。


その横顔を見つめてから、
氷月も空を見る。


無数の光。


(じーさんどれかに居たりして)

ちょっとファンタジックな考えをした。



それなら叱られるだろう。


寡黙な変わり者だったが、

女子高生と暮らしている孫を容認するはずはない。




そう思うと胸が痛んだ。


『…………雫石、
手ぇ暖かいね』


『手が暖かいと心が冷たいんでしょ?』
愉快そうに雫石が笑う。


『そうだよ。
雫石のハートは氷漬け~』


『ひどーい!
氷月さんなんて名前に氷あるじゃん!』

じゃれ合う。



______しばらく歩いて、
公園を抜けていく。


氷月は雫石の手から伝わるぬくもりを、
ギュッと強く握った。


『氷月さん…………』
雫石が立ち止まる。


氷月は雫石の小さな顔を右手でそっと包み、

キスをした。




『んっ…………』

舌を絡ませていく。


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