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壊してほしい
第3章 染めたいよ
『そっか………………

そうだよね。

もう氷月さんのだから大丈夫!!』
雫石がぴょこんと跳ねた。



『___俺の?』
氷月は雫石を見下ろした。


『うん!
氷月だけが、私を弄れるの…………。

ダメかな??

図々しいかな』

言いながらそっと氷月を窺う。


氷月は自分が思っていた通りの考えを照れくさそうに述べる雫石か愛おしくなって、

ぎゅうっと抱き締めた。






2人の唇が重なる。


あたたかなキス。






『帰って暖まろう!
さむっ』

氷月は雫石の肩を抱いた。



ビュウビュウと風が吹く夜中。


月だけが爛爛と2人を照らしている。


____祝福するように、

見張るように____














_________________

『う~~~。

難しいよぅ』



『刃を横にしない!

縦にサクッとさー。ほら、こう』


翌日、
雫石はケーキのカットの仕方を習っていた。


パン切りに似た包丁型のカッターで切るのだが、

雫石がするとグニョリと具材が潰れるのだ。




氷月は雫石の背後に回り、
右手に手を添えた。

『チカラ入りすぎ!
抜いて…んで〔押し付ける〕んじゃなくてサクッと引くの』


『あ。
手を添えたらできた』

キレイな二等辺三角形。

横から見ても段が潰れてない。


『ん、今の感覚を一人でしてみて』



『氷月さん、厳しー……………』



『仕事だからな。

それに雫石、ここに居るんだろ?』

雫石が顔を上げた。
『うっ…………うん!!

頑張ります!!』


再びケーキと格闘を始めた雫石。

氷月はその真剣さが可笑しくてこっそり笑った。



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