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第7章 二人だけの時間に

　やはり真は、俺とは違う生き物だった。俺はそんなことを今更、思う。


　県境を超えて海岸線に出ると、程無く目についた水族館。真にせがまれて、そこに立ち寄る。平日の月曜日の午前中は、人も疎らだ。

　看板として掲げられたイルカショーも今日は無く、順繰りに淡々と館内の水槽を見て回った俺たち。それでも真は物珍しい魚たちや、そうでもない魚たちを眺めてはイチイチその瞳を輝かせた。


「うええ、なにコレ？　グロイい魚ぁ。口ばかりが、異様にデカいよ」


「そうだな……」


「色目も地味だし。全然、動かないし。一体、なにを考えているのかしら？」


「さあ……」


　俺がそんな風に素っ気なくしたのが、どうやら真は気に入らなかったらしく。


「もう、オジサン！　今日はいつにも増して、テンション低いじゃない？」


「ああ……寝不足だからな」


「せっかくの旅行なんだから、ちょっとは楽しそうにしなさいよね。私に対して失礼だわ」


「そ、そうだな……悪い」


　文句を口にされた俺はとりあえず、そう詫びた。