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第9章 対峙して、知るもの

「（ちゅぷ）――なんの電話？」


　と、訊かれ。


「え、さあ……知らない番号、だ……」


　この時はまだ、何気にそう答える。


「じゃあ――（くちゅ）――ほっとけば」


「ん？　うん……」


「どうせ――（つぅ）――勧誘とか――（れろ）――そんなのでしょ」


「ま、まあ……だろうっ、な……」


　そう言いながらも、俺には徐々に予感が膨れ上がる感覚があった。コールは既に十回。まだ鳴り止む気配はない。

　俺が携帯を、じっと眺めていると――


「なにか、気に――（ちゅぷり）――なるの？」


「い、いや……そういう、わけ……でもっ」


「随分と――（じゅぷ）――しつこい人――（じゅぷっ）――みたい」


「そっ、う……だな……」


「そろそろ――（ちゅぴ）――出る？」


「いやっ……」


「じゃあ――（ぐちゅ、ぐちゅ）――出す？」


「へ？」


　そう訊かれるに至り、ようやく真に遊ばれていることに気づく。

　が、時すでに遅し……。


「真、お前っ――なにを、一心不乱にっ――!?」


「あは！　こっちが、先だね。いいよ――（かぽっ！）」


「ぐっ――！」



　ビクッ！　ビク、ビク…………。



　俺が限界を迎えたのと、ほぼ同時――。


　携帯の着信音も、鳴り止んでいた。