パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第12章 高崎家の人々

「俺は飯なんか食っていくつもりはない。どうせ高級な料理は食い慣れないし、話が済んだらその辺りでラーメンでも啜ることにするさ」


　俺はそう言いながら、座布団を除けつつ畳の上に座った。真もそれに倣うように、目立たぬよう斜め後ろでそっと腰を下ろす。


「兄さん――そんな、せっかく」


　そう言いかけた拓実を右手で制して、俺は更にこう続けた。


「そんな訳で、話だけできれば十分。だが、その前に一つだけ。どうも貴方たちは俺の連れているコイツのことを、変に勘ぐっているらしい。が、コイツは今回の話とは全くの無関係だ。それだけは先に、断らせてもらいたい」


「じゃあ、どうして連れて来たの？」


　拓実に問われ――


「まあ、それは――言わばコイツ、俺の同志ってヤツなのさ」


　俺は笑みを浮かべつつも、そう答えている。


「は……？」


　その真意は他の誰にわからなくとも、真にだけ伝わればそれでよいのだと思っていた。