この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第12章 高崎家の人々

 だから、俺は真の前で逃げてはならない。それが俺の勝手な思いに終わるのかは、この先の成り行き次第であろう。

 今だ言葉も発せずに、視線さえ合わせようとしない、この一族の長がそこはかとなく不気味ではあるが――ともかく。


 さて、なにを話そう……か?


 俺の目的は、既にこの時点で半分は果たされている。真に「逃げるな」と言った手前、自分のことを棚に上げていることは、やはり大人として居心地が悪く。それで二十年も前に「逃げ出し」ている、自分の人生に向き合おうとし、現在実際にこうして向き合っていた。

 だから親父の顔を見た瞬間に、俺にはある程度、事を終えた気がしている。別に関係を修復しようなんて思いは、そもそも俺の中にはないのだし。すなわち、これから先はなにを話すのかというより、臆せずに話せるのか、という点が肝要に思えた。

 俺がそんな風に考えていた最中――。


「あの――大変に恐縮なのですが、先にちょっとだけ、ご挨拶させていただいても――?」


 そんな風に言ったのは、この座敷の中で俺が唯一、初見であった人物である。控え目な様子で一同を見渡してから――


「お義兄さん、初めまして。私――拓実さんの妻の香苗(かなえ)と申します」


 彼女は俺に、初対面の挨拶をしていた。

/400ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ